June 19, 2017

フェンネル

宇宙だ

June 14, 2017

touched..

前略おふくろ様。ご無沙汰していましたが、俺生きてます。

昨日、目が覚めると自分の手が目の前にありました。このバンコクの、俺の棲家は言ってみれば下町で、朝から結構うるさい音が窓から流れ込んでくるわけで、俺はその音で目が覚めたらしく。

でも体は急には目が覚めない。窓から差し込んでくる光をいつの間にか手だけで遮っていたわけで。びっくりしました。死んだ親父さんの手を思い出しました。あなたのようにいつまでたっても手入れをされた女の手ではなく、ふしくれて、しみができ、しわと血管とが目立つ汚い手です。

前略おふくろ様。俺ももうそんな年月を生きてしまったわけで、だから、自分の手の醜さにやっと気がついたわけで。手だけは俺の気持ちにかまわずに正直に歳をとってきた。

たとえばここに一本の道があるとする。道路があるとする。鉄道があるとする。それを辿ってみる。20年ぶりか、30年ぶりかで辿ってみる。そして気がつく。もうあの頃の道はないことに気がつく。

そしていまの旅人たちに出会う。彼らはいまの目で初めてその道を見るわけで。いまのことしかわからないわけで。

俺がいまの目でいまの自分の手を見るようなものでしょう。

前略おふくろ様。彼らは知りません。あの頃、あの町がもっと暗かったこと、暗いけれど怪しく魅力的だったこと、森が高く濃かったこと、あぜ道が長く農夫の姿さえまれだったことを知りません。いまからすべてが始まる、その繰り返しです。

前略おふくろ様。休みがとれたら飛行機に乗ります。乗って会いに行きます。それまで元気でいて下さい。


( 矢野かずき )

June 5, 2017

ソールライター覚書

猫の足が枠から見切れているのにこの存在感
むしろ、見切れているからこその存在感?

ソールライターの写真には
人物が見切れている構図も多い

今は簡単にトリミング処理できちゃうけど、
昔は一発勝負だからすごい

電柱や木、軒下が前方にある構図も面白かった

June 2, 2017

ソールライター展

Saul Leiter @NY

日常のありふれた風景を
アートシーンに変えてしまう斬新な構図
すぐにでも真似したくなります
目を養うことのできる写真展です

ガラス越し、覗き見、五分の一構図...
電柱がど真ん中でもかっこいい

一瞬を絵の様に切り取りたい衝動は多いけど、
心が動かされた、その何かを切り取るのは難しい