March 11, 2016

311

あの日私は赤坂の高層ビルで治療をしていました

激しい揺れに柱がミシミシと大きな音を立て
美しく塗装された壁や天井にヒビが入り、
しばらくすると破片が落ちて来ました

窓の外に見える高層ビル群は大きく揺れ、
この世の出来事とは思えない光景でした

一緒にいたご夫婦は足が不自由で、
二人をどう避難させるか考えながら...
泣き叫ぶお母さんを抱きしめ、寝たきりのお父さんの手を握り
「 大丈夫、大丈夫 」と言うことしかできませんでした

5分程して揺れはおさまりましたが
またすぐ二回目の地震がやってきました

その揺れは私に死の恐怖をもたらし、思わず 
「 神様、お願いします 」と叫んでいました

それから揺れがおさまるまで、
私たちは神様に叫び続けました


震災から5年、私とその家族は311で繋がり、
一年に一度あの日あった事を電話で話すようになりました
今朝も懐かしい声に涙が出ました


東北の復興はまだまだ先が見えず、
絶望を希望に変えた東北の強い心が
折れてしまうような気がします

被災地の人に、頑張らなくてもいいよと言ってあげたらいいのか
頑張ってと言っていいのか未だに分かりません