September 16, 2009

私たちは

私たちはどこでどうしていようと
「そこ」とか「ここ」とかの
見える「場所」で
見えない「今」の一瞬一瞬を
かぎりもなくつづけているのだが
つづけながらにふっと気がつく
つづけているのは私たちではなくて
見えない「時間」の方がひっそりと
つづいているんだなぁと
そしてそう気がつくと夜が明けるように
わかってくるのだこの老人にも
「時間」こそは母なる宇宙ご自身なのだと
私たちこの世の存在物の残らずを
その胸に抱きつづけていてくださる…
しかも有難いことにそのやさしさの外へ
こぼれ出ることだけは
たとえ一瞬でもチリ一つでも
こんりんざいできっこないんだと…


by まどみちお