August 12, 2007




ネパールのリアル

日本でネパールを旅した事のある友達も、
ネパールから渡って来た旅人も、
みんな、この国をいいと言っていた。

BUT I DONT FEEL HERE.

正直、この国をいいってまだ思えてこない。
カトマンズの人々の人懐っこさは、虚像に思える。
私がこの国にお金を落としていくから、近寄ってくる人々。

カトマンズに着いてからの10日間は、
空港で待ち合わせをしていた母と母の友達と過ごした。
小学校で教師をしていて、夏休みの旅行気分で来たネパール。
彼女達が最初に発した言葉は、「この国、何か変だ!」。
カトマンズの喧騒を離れ、ポカラでリゾートな時間を過ごしてる時も
その「変だ、変だ」は続いた。

男は若者ですら働かず、道で博打をしたり酒を飲んでいる。
仕事は?と聞くと返事はひとつ、「NO JOB」。
女は頭から重たい荷物を下げて歩き、田んぼでも暑い日差しの中働いている。
小さな子供が、道で草むしりをしていたかと思うと、
私立のスクールバスから制服をきた同い年の子供達が降りてくる。
国王の避暑地には鉄格子が張られ、多数の軍隊が配置されている。
「王は国民の敵ってわけか・・・」

どうやら彼女達の変だ!は気のせいではなかったらしい。
素晴らしいヒマラヤ山脈という観光地で、気候も資源も豊かなこの国が、
なぜこんなにも貧困で、子供達の瞳から輝きがうせてしまっているのか・・・。
この国について人々にリサーチを続けていたら真相が明らかになってきた。

ネパールはもともと多民族国家で(今でも60近い民族が暮らしている)、
16世紀にゴルカ民族の王が国を統一し今よりも大きくなっていこうとしてたらしい。
その頃イギリスの植民地であるインドがこの国を占領しようと戦争をしかける。
そして戦争に負けたネパールは半植民地となってしまった。
もともと大きな国であるインドと中国に挟まれてる国だし、
海にも接してなかったから貿易も出来ず、
ガソリンやほとんどの物資をインドからの輸入に頼ってる。
今でもインド国境付近の領土を毎年インドに奪われてしまっているらしい。

で、問題なのはこの国の政治。
教育を受け、この国を本当に豊かにしたいと思って勉強している若者でなく、
教育を受けてない金持ち、更には政治家の血縁しか政治家になれないという現状。
政治家によっては、銀行から融資してもらった金を使って海外で金儲けをし、
税金(13%)を払わないどころか、銀行のトップに賄賂を渡しローンすら踏み倒す。
どっかの国でも政治家は裏で同じ様な事してそうだけど、
この国でも金に心を侵食された政治家が牛耳っているらしい。

子供の教育も医療も海外からの支援が半数以上。
日本人のボランティアも数多くみかけられる。
砂漠の上にある国ならまだしも、おかしいでしょう。

女性と子供と老人の地位も低い。
今はあまり関係ないと言われてるけど、ジャート(カースト)もある。
豊かな水があるのに上水道は発達していないし、道はきたない。
政治が変われば、子供達の計り知れない才能を伸ばしてあげることだって出来るし、
ほんの少しの薬で治るはずの病気で死ななければならない人だって助かることが出来るのに。

暗いなあ、この国の未来。
こんな国があるなんて、知らなかった。

でも田舎の農村の人達は、いい顔してた。
太陽と共に生きてる人は、貧しくても心が豊かなんだなぁって
救われた気持ちになったよ。

私はなんだかんだ言っても、
この国の為に何も出来ないし何かするつもりもない。
そんな自分に直面して、ちょっと苦しいよ。
でも、本当の幸せを掴んで欲しいなぁって心から思う。
外からの力でなく、彼ら自身の力でね。