April 10, 2012

Old Yugo's Real



クロアチアの田舎は時の流れが違う

のんびりとした日曜日みたいな風が通り過ぎていく

森と草原、大きな煉瓦造りの家と菜園、家畜と犬
シンプルで豊かな暮らしの空気を感じる

こんなところに住みたいと思う



背の高い、羊飼いのおじいちゃんがいた
写真撮っていい?と聞くと、クロアチア語でこんな服でもいいの?と微笑みながら被写体になってくれた


こんなにのどかな国で内戦があったのは、私が10代の頃

私たちの多くがユーゴスラビアという国の名前を最初に知ったのも、
1990年代の稀にみる残虐な民族紛争があったからなんだと思う

もともとこの土地にはクロアチア人、セルビア人、モスリム人等の5つの民族が
隣り合わせで民族の垣根なく、仲良く暮らしていた

6つの国に7つの国境、4つの言語に3つの宗教が旧ユーゴスラビアを成していた
共和国の崩壊とともに、この複雑な背景が恐ろしい独立戦争へと発展した

政府の狙いは「民族浄化」
それぞれの国が純血国家を目指した

主に未来の兵士となりうる子供とその子を産む女性が虐殺された
そして多くの女性が集団で強制的に強姦され、妊娠させられたという

映画「サラエボの花」の意味がここに来て初めて分かった

しかし、民族紛争とう名の戦いは最近になってプロパガンダだったということが明らかになった
実は黒幕にはアメリカ政府がいて、共産主義国家に対してしかけられた戦争だったという

市民は憎しみ合ってはいなかった
戦いが早く終わることだけを願っていたという



多くの犠牲者を出した内戦の傷跡は、今でもそのまま残っている

のどかな風景の中に廃墟がぽつぽつとあるのが気になっていた
よく見ると、銃弾の跡...

そして野原にある比較的新しい墓地

気持ちよく農村を走っていたのが一瞬にして落ちた
正直、怖かった

そして、たった10年前の出来事かと思うと悲しかった

時代が変わっても、権力は市民を殺し続けるのかな?
人が人を殺し合う時代はもう終わったって感じるけど、世界はまだ兵器も軍事力も放棄しない

欲望が心を占めている限り、その心が感じるもっと大切なものには気付けない
人と人との繋がりに存在する生温かさを知らないまま、これからもどこかで戦争は起こるのかな?

権力って愚かで怖いね

私は何者にもならなくていい、名声をあげなくても、財産をつくれなくても
ただ、家族や友達と笑うことができて世界が平和だったら...